人生の夏休みを取りました。~③竹富島で過ごした夏休み~
こんにちは、たまです。
今回は「星のや竹富島」の「島時間養生」プランで体験したことを書きます。
旅行記としては今回がすべてです。
個人的なここまでのいきさつは、過去記事よりどうぞ。
島時間養生プラン
「島時間養生」は「星のや竹富島」が滞在オプションとして用意しているプランです。
つまり素泊まり宿泊費(3泊4日分)+コレということ。
行く前の私は、こんな高いのに全然気持ちに変化がなかったらどうしよう、と不安に思っていました。笑(旅行として満足しないはずはないと思ってましたが)
サイトを見ていただければわかる通りですが、組み合わせ自由のオプションが、3泊4日分フルチャージされている、というプランです。
3泊4日のうち、いつそれをやるのかも自由。
事前に宿からいただいたメール連絡でも、予約が必要な3回分のスパの時間のみを決めました。あとは本当に「その時の自分の気持ちで決める」とな。体験にも準備とかあるだろうに、どうするのだろうとぼんやり考えていましたが、心配は無用でした。
竹富港から送迎車で宿に着くとすぐ、スタッフの方が一人お迎えに来てくれました。そのままカートで「部屋」へ直行。
「星のや竹富島」の「部屋」とは、イコール家1棟です。石垣に囲まれ、庭にハイビスカスが咲き誇り、赤瓦の屋根にはシーサーが鎮座する沖縄の家、1棟。
お迎えのスタッフさんは、旅中ずっと身の回りのお世話をしてくださる、いわばコンシェルジュの方でした。
メインとサブの2名体制(多分)で、ずっと良い距離感で付き合ってくれます。
部屋に着いてすぐ、脳幸福度と脳疲労度のテストをしました。
医師会監修のもので、各20個ぐらいのチェックシートに答え、そのポイントの合算値で脳の健康状態をはかるというもの。
私はマイナス15点で、もはや脳が疲労している参考値のマイナス10点を下回る結果に…笑
チェックアウトの時も同じテストをやるんだそう。改善が楽しみです。
そして、「おなかがすいたらフロントにお電話ください」とのこと。
島時間養生には、朝食3回・昼食1回・夕食3回がついています。
つまり、3泊4日のどこでカードを切っても(切らなくても)自由、時間も指定なし、ということ。なんというか…すごいプランです。笑
1つ気を付けておくべきは、昼食1回・夕食3回は、いずれも前にアクティビティがセットになっていること。
例えば、ハーブを収穫して食前酒を作っていただいたり、もずく麺を自分で打ったり。空腹感がしっかり高まるものばかり。
なんだかんだアクティビティは1時間ぐらいかかるので、「あ、ちょっとおなか減ってきたな」ぐらいでフロントに連絡するのがポイントです!
結果、私が辿った3泊4日はこんな感じになりました。
初日に「この日に何をする」ぐらいは決めてましたが、あとは本当にその日の気まぐれ。
■1日目
13:30 チェックイン、脳コンサルテーション
<部屋でのんびり>
15:00 スパ(80分):特別メニュー ※特別メニューは3回中1回選択可
<星のや内を散策>
18:00 ハーブ採取→自分で摘んだ長命草で作った食前酒をいただく
19:00 ダイニングでフレンチフルコース(夕焼けを眺めながら)
<部屋でのんびり>
22:00 就寝
■2日目
<よんなー深呼吸に参加するつもりが寝坊…まいいや>
6:30 起床
<アイヤル浜まで散歩>
7:30 朝ごはん:ジュース2種
<部屋でのんびり>
11:30 もずく麺作り(小麦粉から!)
+ハーブ採取→ハーブ塩作り
(西桟橋まで夕陽を見に行くため、夕食用のアクティビティを前倒し)
13:00 ダイニングで昼ごはん:打ちたてもずく麺
<プールのデッキチェアでぼんやり>
15:00 スパ(80分):ひかのーんコース
<部屋に戻ると、昼に摘んだハーブでハーブティーのサプライズ>
<部屋でのんびり>
19:00 西桟橋まで送迎してもらい、夕陽を見送る
20:00 部屋で海鮮しゃぶしゃぶ(お手製ハーブ塩を添えて)
21:15 プールサイドでてぃんぬ深呼吸→そのまま星空観賞(カメラの限界)
23:00 就寝
■3日目
6:00 起床
6:20 アイヤル浜でよんなー深呼吸
8:00 朝ごはん:ジュース2種(昨日と違う)
<部屋でのんびり>
10:00 星のやの周回バスで、カイジ浜へ
12:00 「たけのこ」でランチ
13:30 周回バスで宿に戻る
14:00 ハーブ採取→月桃の蒸留水作り
(またも夕陽を見に行くため、夕食用のアクティビティを前倒し)
15:00 スパ(80分):しゅらさコース
<部屋に戻ると、ハーブティーとハーブバスのサプライズ!>
<部屋でのんびり>
19:00 西桟橋まで送迎してもらい、夕陽を見送る(おかわり2回目)
20:00 コウシンバラとレモングラスの食前酒
20:15 ダイニングでフレンチフルコース
21:30 プールサイドでてぃんぬ深呼吸→そのまま星空観賞
23:00 就寝
■4日目
5:30 起床
6:20 アイヤル浜でよんなー深呼吸
8:00 朝ごはん:ジュース2種(3日間違った)
<プールのデッキチェアでぼんやり>
<部屋でのんびり>
12:00 脳コンサルテーション(2回目)、チェックアウト
最後にやった脳力テストは、20点でした。
なんと35点アップです。笑
20点の状態メモには「脳はいい状態です。少しのストレスがあっても、脳が自然と身体をリフレッシュさせるよう反応します。」と書いてあります。
旅を終えた私は、その通りだと思いました。
感じたこと
小さな島で過ごした、すべてが豊かな3泊4日でした。
まずは自然。
緑と青と、花の鮮やかな赤や黄色。目に映るものすべてが豊かで美しい。
それと、20年分ぐらいの虫とヤモリを見ました。笑
最初こそおっかなびっくりでしたが、一定の距離を保てばだんだんかわいく見えてくるもので、家に住みつくヤモリやクモにあだ名を付けて観察していました。
※とはいえ本当に多いので、虫が苦手な人は結構覚悟してった方がよいです!
3回のスパ。
マッサージはたまに行くのですが、ほとんど駆け込み寺的な使い方なので、3日もかけて誰かが自分の体に向き合ってくれたのは初めてでした。(あんまりなくないですか?)
施術はとにかく気持ちよかったのですが、最終日のお見送りでスパのお姉さんに言われたこと。
「今の状態が本当の貴方だということを忘れないで」
二度と来ないように。大事に、忘れずに生きていこうと思いました。
なんだか目頭が熱くなってしまったのでした。
旅でたくさんの「知恵」も得ました。
ハーブや花の名前、香り、効能。島の食材。伝わる民芸や生きる術の数々。
小さい頃、花の名前を覚えるのだけはやたら得意で、よく両親に自慢していたことを思い出しました。
月桃の蒸留水は、甘い香りで落ち着く。クミスクチンのお茶は、苦いけど疲労感が軽くなる。塩はヨモギとコウシンバラが好み。総合点で私が一番好きなのは、レモングラス。
自分の感想付きで覚えたので、きっと忘れないし、ペースが乱れたときに思い出そうと思います。
そして一番記憶に残っているのは、西桟橋で見た日没。
一秒も同じ景色はない。どんどん、どんどん沈んでいく。直前までこれでもかと燃えているのに、まるでジュッと音を立てるように水平線に没していく。
次の日も同じ場所で日没を見ました。前日の1分後。雲が晴れて、同じようで少し違う景色。
私たちは回っている。ずっと自転し続ける。毎日同じような日を繰り返しても、「今」はもう二度と帰ってこない。
「時間は止まらない」。これは旅のあいだ、何回か思ったことでした。
会社で過ごす平日は、出勤してから退勤するまでのおよそ12時間を「仕事の時間」としか捉えていなくて、最初の1時間も最後の1時間も同じように感じるのですが、島では全く違ったのです。
朝、日が昇って、太陽がだんだん高くなる。朝はカラスが元気。太陽が真上に来る頃、徐々に風が出てきて、雲が流れて空は青一色になる。太陽が傾いていく。空の色が変わる。雲が増える。ヤモリが元気。日が沈む。星が出てくる。月が見える…
ずっとそうやって、ゆっくり、でも着実に流れていく。
同じ時がない。今はもう来ない。ナアナアに過ごすのは惜しい。
ありきたりな教訓ではあるけど、こんなに身をもって実感したのは、この旅が初めてだったと思います。
ごはんがおいしい。人が優しい。自然は美しい。
色んな花を見た。色んな種類のハーブを嗅いだ。摘み取り、塩に、蒸留水に、カクテルにした。お茶を飲んだ。
色んな生き物を見た。ヤモリ。青いしっぽのトカゲ。蝶。ムカデ、クモ、タガメみたいなやつ。30センチぐらいのオオトカゲも見た。鳥もたくさん。色んな声も聴いた。
白い砂浜を歩いた。海を見た。プールに入った。ビーチで、ベンチで、雲が流れるのを見た。夕陽が沈むところを見た。最後の一秒まで。星空を見た。流れ星も。天の川も。朝日も見た。
私は、その一つ一つに「感動」できることを、忘れずに生きていこうと思いました。
おわりに
約束通り、旅の最中は、よく自分と会話をしていました。
<部屋でのんびり>の時間はずっと、ノートに頭の中の言葉を全部書き出していました。
私は書くと整理ができるタイプ。記憶力もないし、これがすごくよかった。
仕事が好きか嫌いか。続けたいか。えらくなりたいか。今、1年後、3年後、10年後、何がしたいか。どこに行きたいか。私にはいくら必要か。生きるうえで何が大事か。など…
ずっと悩んでいたことや、考えるに及ばなかったこと。
今回考えて答えが出たもの、考え続けようと思ったもの、考える必要がないとわかったもの、いろいろです。でも「いろいろ」が出たのです。
どうにかしたくて休みを取って、この旅に来ました。
終わってみて、生まれ変わった感覚はありません。
でも、つきものが溶かされた。なくなったような感覚に近い。
コップに満タンになっていたのは水ではなく泥で、いつしか中の水分も蒸発して、カピカピに乾いていた気がします。日々の自分じゃ、もうどうしようもなかった。
それがこの旅を経て溶け出ていった。
時間によって。仕事から離れたことによって。スパによって。殴り書きノートによって。海や自然を見て。
どっかにそっくりそのまま取り置いた、捨てた、というわけでもなく、溶けてなくなった感じがするのです。
きっと東京に帰って平日に戻れば、すぐに日常に飲まれる。
空になったコップに、また簡単に泥が積もるでしょう。放っておけばすぐ元通りです。
でも、これからの私はそれを放置しない。
しょっちゅう水を与えて、溶かしながらなんとかやっていく。なるべく泥が入らないようにする。それができる時間の余裕を確保し続ける。元気でいる。
難しいことは置いといて、それだけ、竹富島の私と約束して、帰ってきたのです。
……東京に帰って数日経ち、ついに明日から社会復帰です。
無性に本が読みたくなって、ずっと読書をしています。通勤の時間はしばらく読書にしようかと思います。
映画はまだ見てないけど、見たいものが出てきたら、見られる気がする。
やっぱり働きたくはないけど、「サザエさん症候群」みたいな中途半端な嫌気はなくて、妙に落ち着いていて、「さあやりますか」という気持ちです。
仕事を辞める日は決めませんでしたが、転職活動のことを少し考えられるようになりました。辞めるとしたら春先かな。タイミング見て。
誰かのために書いたブログでしたが、きっと私も読み返すと思います。
自分を励ましてくれるのは過去の自分だけだ。(by武田鉄矢)
これを読んだみなさんが、健やかに生きられますように。
以上、たまでした。